「次の電車が来るまえに」越谷オサム著

公開日: 更新日:

 保険会社の支店長・真人は、午前中に顧客との新規契約を終え、故郷の一関に向かうやまびこ51号に乗り込む。通路を挟んだ席に親子3人連れが乗車してきた。幼い子供は車窓の景色にくぎ付けだ。その姿に前日、妻と一足先に真人の実家に向かった5歳の息子が重なる。

 そういえば自分が初めて新幹線に乗ったのも5歳だった。妹が生まれる前、東京に家族旅行に出かけたときだ。普段は無口な父親のはしゃぐような声を覚えている。それ以来、何度も新幹線には乗った。就職した会社を2年で辞め、しばらく実家にいたとき、祖父の代から続く写真店を継ごうかと考えたが、そのことで父親と口論になり最終電車で東京に向かったこともあった。(「やまびこ」)

 電車を舞台にした心温まる物語5作を収録。

(新潮社 693円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  2. 2

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  3. 3

    佐々木朗希“大幅減速”球速160キロに届かない謎解き…米スカウトはある「変化」を指摘

  4. 4

    ヤクルト村上宗隆 復帰初戦で故障再発は“人災”か…「あれ」が誘発させた可能性

  5. 5

    清原果耶ついにスランプ脱出なるか? 坂口健太郎と“TBS火10”で再タッグ、「おかえりモネ」以来の共演に期待

  1. 6

    松嶋菜々子の“黒歴史”が石橋貴明セクハラ発覚で発掘される不憫…「完全にもらい事故」の二次被害

  2. 7

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  3. 8

    「皐月賞」あなたはもう当たっている! みんな大好き“サイン馬券”をマジメに大考察

  4. 9

    ヤクルト村上宗隆「メジャー430億円契約報道」の笑止…せいぜい「5分の1程度」と専門家

  5. 10

    常勝PL学園を築いた中村監督の野球理論は衝撃的だった…グラブのはめ方まで徹底して甲子園勝率.853