「BOOKSのんべえ」木村衣有子著

公開日: 更新日:

「BOOKSのんべえ」木村衣有子著

 絲山秋子の「下戸の超然」を読むと、のんべえと下戸の間に流れる川は深いと分かる。

 北九州生まれの鳴海広生は、筑豊出身の力士、益荒雄広生にあやかって名づけられたが、体格も性格もその名にふさわしくない。彼女と食事に行くと、遠慮せずに酒を飲む彼女に「ずれ」を意識しはじめる。酒が言わせる言葉、酒がさせる所業と思っても、そこにはその人の個性が宿っている。彼女は「せっかくリラックスしているのに」と言うが、鳴海にはだらしないとしか思えない。(「下戸とのんべえの間」)

 ほかに「吾輩は猫である」が書かれた時代には、ビールは新しい飲み物だったので、扱いが冷たいなど、日本文学と酒について考察したエッセー。

(文藝春秋 1650円)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  2. 2

    佐々木朗希“大幅減速”球速160キロに届かない謎解き…米スカウトはある「変化」を指摘

  3. 3

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  4. 4

    ヤクルト村上宗隆 復帰初戦で故障再発は“人災”か…「あれ」が誘発させた可能性

  5. 5

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  1. 6

    フジの朝ワイド「サン!シャイン」8時14分開始の奇策も…テレ朝「モーニングショー」に一蹴され大惨敗

  2. 7

    「皐月賞」あなたはもう当たっている! みんな大好き“サイン馬券”をマジメに大考察

  3. 8

    セレブママの心をくすぐる幼稚舎の“おしゃれパワー” 早実初等部とアクセスや環境は大差ナシ

  4. 9

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  5. 10

    下半身醜聞・小林夢果の「剛毛すぎる強心臓」…渦中にいながら師匠譲りの強メンタルで上位浮上