「八月の銀の雪」伊与原新著
「八月の銀の雪」伊与原新著
大学の理工学部に通う堀川は、1年の休学を経て就職活動を始めたが人との会話が苦手で苦戦。8月になってもまだ内定がひとつもない。焦りばかりが募る中、コンビニで同期の清田と再会する。清田は商社を辞め、仮想通貨のアフィリエーターをやっているという。堀川も勧誘されるが、どうもうさんくさい。
数日後、堀川は同じコンビニで外国人店員から声をかけられる。いつも不愛想で、仕事が遅い、グエンというベトナム人女性だ。
グエンは、清田と会った晩、イートインで論文のコピーを見なかったかという。探すと、清田がビジネスの概要を説明しながらメモした紙が出てきた。裏を見ると英文で書かれた論文だった。(表題作)
知的好奇心をくすぐる科学知識をモチーフに紡がれる感動の作品集。
(新潮社 737円)