「無名の人生」渡辺京二著

公開日: 更新日:

「無名の人生」渡辺京二著

 昨年亡くなった著者による人生論。

 執筆時に80代半ばだった氏は、友人も亡くなり周りは知らない人ばかりになったが、まだ生きることに執着があると吐露。

 しかし、今よりも寿命がはるかに短かった江戸時代の人々は「生」に執着することなく死んでいった。何事もなく死を受け入れていた江戸期の人と、今の人はどこが違うのか考察を重ね、「人間、死ぬから面白い」と説く。

 一方で、明治維新前後に来日した西洋人に日本がどう映ったのかを記した出世作「逝きし世の面影」をなぜ書くことができたのか。それは異国からきた彼らと同じ視線を自分が持っていたからだと自己分析。

 北京や大連で過ごした少年時代、そして引き揚げ体験など、人生を振り返り、流浪することこそが人間本来のあり方だと語る。

(文藝春秋 935円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊川怜の元夫は会社が業績悪化、株価低迷で離婚とダブルで手痛い状況に…資産は400億円もない?

  2. 2

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  3. 3

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  4. 4

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  5. 5

    斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑

  1. 6

    渡辺裕之さんにふりかかった「老年性うつ」の正体…死因への影響が報じられる

  2. 7

    水卜ちゃんも神田愛花も、小室瑛莉子も…情報番組MC女子アナ次々ダウンの複雑事情

  3. 8

    《小久保、阿部は納得できるのか》DeNA三浦監督の初受賞で球界最高栄誉「正力賞」に疑問噴出

  4. 9

    菊川怜は資産400億円経営者と7年で離婚…女優が成功者の「トロフィーワイフ」を演じきれない理由 夫婦問題評論家が解説

  5. 10

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”