「かたばみ」木内昇著

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「かたばみ」木内昇著

 昭和18年、日本女子体育専門学校の指導研修生、山岡悌子は、やり投げの選手としてオリンピック出場が期待されていた。ところが肩を壊し、退学して国民学校の代用教員になる。悌子はやり投げの日本記録という自分の目標のほかに、早稲田大学に入った幼なじみの神代清一の活躍を見守りたいと考えていた。

 教師となった悌子は、大本営発表とは裏腹のアッツ島玉砕の報に不安を感じ、清一に手紙を出す。清一と会って悌子の同級生の雪代と結婚したことを聞き、悌子はショックを受ける。

 空襲で父親が行方不明になった生徒が親戚の家で肩身の狭い思いをしていると知った悌子はその生徒を引き取るが、さらに戦死した清一の遺児まで引き取ることに……。

 血のつながらない子どもと家庭をつくっていく女性を描いた長編小説。

(KADOKAWA 2585円)

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