「暗い時代の人々」森まゆみ著
「暗い時代の人々」森まゆみ著
日本はなぜ、戦争への道に迷い込んでしまったのか。その答えを探し、満州事変から太平洋戦争終結までの抑圧された「暗い時代」に、「精神の自由」を掲げて戦った人々の軌跡を追う評伝集。
明治時代、立憲主義に目覚め弁護士から政治家に転じた斎藤隆夫(1870~1949年)。5.15事件や2.26事件を引き起こした軍部の暴走を阻止しようとした氏の国会での粛軍演説や、日中戦争時に聖戦の名の下で行われている戦争を痛烈に批判した反軍演説(この演説がもとで議員除名処分)などを取り上げ、その生涯と信念を紹介。
ほかにも、女性の権利擁護運動に尽力した山川菊栄や、治安維持法の改悪に反対して右翼に刺殺された山本宣治ら10人のリベラリストたちの生涯を描く。
(朝日新聞出版 990円)