「にっぽん歴史町めぐり」エクスナレッジ編
「にっぽん歴史町めぐり」エクスナレッジ編
城下町や宿場町、門前町など、歴史ある町はその成り立ちによってそれぞれ独自の町並みを保ち、今に伝える。
各地に残るこうした町の中でも、「歴史的風致を形成している伝統的な建造物群」で価値が高いと判断された126地区が国によって「重要伝統的建造物群保存地区」(伝建地区)に選定されている。
本書は、その伝建地区を中心に魅力的な景観の町並みを紹介するビジュアルガイド。
まずは日本初の対外貿易港として栄え、洋風の歴史的建造物が並ぶ北海道函館市の元町末広町から、中門造りの曲家が残る福島県南会津町の山村集落・前沢まで、北海道・東北の11地区を紹介。
そのひとつ、青森県黒石市の商家町「中町こみせ通り」には、江戸中期から明治時代にかけて建てられた大規模商家が並ぶ。その町並みを特徴づけるのが商家の前面に連なる「こみせ」だ。こみせとは、通りに面して1間(約1.8メートル)ごとに立てた柱に商家の建物の高さに合わせてかけられた庇(ひさし)のこと。庇の下の幅は各家の私有地だが、庇のおかげで屋根付き通路になり、誰でも通行でき、日差しや風雪から歩行者を保護するアーケードとして機能している。
関東では、千葉県香取市の佐原や、埼玉県川越市川越のように今や観光地としてにぎわっている地区のほかにも、街道沿いを中心に店蔵(見世蔵)と呼ばれる店舗兼住宅や蔵が並ぶ栃木県栃木市の嘉右衛門町や、江戸後期から昭和にかけて建てられた伝統的な養蚕家屋が現存する群馬県中之条町の山村集落・六合赤岩など7地区を網羅。
以降、九州・沖縄まで、131地区の町並みと建物の特徴を写真とイラストで解説する。
次のお休みに出かけてみようかと思わせてくれるお勧め本。
(エクスナレッジ 1980円)