「生きものがつくる美しい家」鈴木まもる文・絵
「生きものがつくる美しい家」鈴木まもる文・絵
頑丈な前歯で切り倒した木を用いて川をせき止めダムをつくるビーバーや、わずか数ミリの体で高さ10メートルを超えるシロアリの仲間など。生き物たちは時に人知を超える規模の巣をつくる。
彼らが巣をつくるのは、主に子育て、子孫を残すため。だから、生まれてすぐに歩き始めるウマやゾウは巣を持たない。
ビーバーやシロアリに限らず、生き物たちは子孫を残すため、さまざまに工夫を凝らした巣をつくる。そんな生き物たちの凄技でつくられた巣を紹介するイラスト図鑑。
アフリカの砂漠に住むシャカイハタオリは、樹木に枯れ草を厚く重ねて半ドーム状の巣をつくる。直径10メートルにもなるという巨大な巣は、数百羽が同時に暮らすマンションのようだ。
鳥の巣は、ふつう、子育てを終えると使われなくなるが、シャカイハタオリは、この巨大な巣で一年中暮らし、なんと100年以上も前から使い続けられてきた巣もあるという。
南米・アンデス地方の湖にすむ水鳥ツノオオバンは、天敵に襲われぬよう水上に巣をつくる。
なんとその巣は、岸から数十メートルも離れた湖の底に石をコツコツと運び積み上げ、その土台の上に水草を積みつくったもの。一番下の幅は約4メートル、高さは約1メートルの土台をつくるのに使われる石の総重量は1.5トンにもなる。
鳥だけではない。砂地の海底にミステリーサークルのような直径2メートルの巣をつくるアマミホシゾラフグなどの魚や、毎日寝る前に新しい巣をつくって眠るチンパンジーなど、さまざまな動物の121の「すごい巣」とそのつくり方や使い方、そして生態などを詳細なイラストで紹介。
それぞれの動物たちの巣への「こだわり」が垣間見えて面白い。
(エクスナレッジ 1980円)