増田晶文
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増田晶文作家

1960年、大阪生まれ。同志社大学法学部卒。「果てなき渇望」(文藝春秋ナンバー・スポーツノンフィクション新人賞)でデビュー。著書に「稀代の本屋 蔦屋重三郎」「絵師の魂 渓斎英泉」「楠木正成 河内熱風録」「ジョーの夢」「エデュケーション」など多数。

(11)白日の吉原に遊女の哀しい声が響く

公開日: 更新日:
切り絵・小宮山逢邦

 灰褐色の土煙が舞う。

 白日の吉原、仲の町通りを若い遊女が駆けてきた。肌襦袢一枚、裸足の女は必死でわめいている。だが、それは言葉にならない。悲鳴とも呪詛ともつかぬ、おぞましく哀しい声が響く。

 女が転んだ。めくれる裾、白い太腿が丸見えに。しかし、すぐ女は起き上がった…

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