「シニアになって、ひとり旅」下川裕治著
「シニアになって、ひとり旅」下川裕治著
コロナ禍によって制限されていた旅の自由がようやく戻った2023年。初心に戻り、国内のひとり旅に出た達人による紀行エッセー。
人はある年齢を境に、かつて訪ねた場所にもう一度向かいたくなるらしいと、岩手県花巻を半世紀以上ぶりに再訪。前回は宮沢賢治が目的だったが、今回は閉店した地元デパートの最上階で今も営業を続けている「マルカンビル大食堂」だ。日本で唯一残るデパートの大食堂と聞き食指が動いたのだという。注文を済ませ料理を待つ間、長野で過ごした少年時代に母と妹と一緒に行ったデパートの風景が蘇る。
以降、かつてお世話になった「キハ40形」に会いに行く千葉県小湊鉄道の旅や、北海道苫小牧から乗り込む仙台行きフェリーなど7編を収録。
(朝日新聞出版 858円)