<第1回>どこで亡くなったのか。誰が看取ったのか。最期の容体は――。すべてがわからなかった
「俺は鉄道員みたいにひっそりと誰にも知られず逝きたいんだ。だから、頼むから派手な葬儀はしないでくれ」
高倉健は、闘病中のベッドで近親者にこう告げたという。2014年11月10日、多くのファンから尊敬を込めて「健さん」と呼ばれた男が亡くなった。悪性リンパ腫。83歳だった。
没後1年たった現在も、健さんを偲ぶイベントが各地で開催され、大勢の人が詰めかけている。私も健さんが好きだった。「網走番外地」など任侠映画で見せた迫力にしびれ、「幸福の黄色いハンカチ」「南極物語」「鉄道員」で演じた“寡黙でストイックな男”の姿に憧れた。いつか健さん本人にインタビューしてみたいというのが、私の夢でもあった。
しかし別れは突然やってきた――。同年11月18日、「高倉プロモーション」が訃報を発表したのだ。
《映画俳優 高倉健は、次回作準備中、体調不良につき入院、治療を続けておりましたが、容体急変にて11月10日午前3:49、都内の病院にて旅立ちました。生ききった安らかな笑顔でございました》