著者のコラム一覧
中村竜太郎ジャーナリスト

1964年生まれ。大学卒業後、会社員を経て、95年から週刊文春で勤務。政治から芸能まで幅広いニュースを担当し、「NHKプロデューサー巨額横領事件」(04年)、「シャブ&ASKA」(14年)など数々のスクープを飛ばす。「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」では歴代最多、3度の大賞を受賞。2014年末に独立し、現在は月刊文藝春秋などで執筆中。フジテレビ「みんなのニュース」のレギュラーコメンテーター。

<第1回>「とにかく現地に行って徹底的に取材してくれ」

公開日: 更新日:

 世界情勢はパリ同時多発テロに続く銃乱射事件など混迷を深める一方だが、その原点ともいえるニューヨークで、中村記者が目撃した衝撃の光景とは――。

「うそだろ!」

 ニューヨークの世界貿易センターに飛行機が突っ込んでいく映像を見て、編集部員は驚きの声を上げ一同絶句した─―。

 2001年9月11日午後10時前(日本時間)、「番組の途中ですがニューヨークで大きな航空機事件がありましたので、緊急のニュースをここでお伝えします」。テレビ画面が一斉に臨時ニュースに切り替わり、アメリカン航空11便が同ビルツインタワー北棟に激突する様子を流した。航空事故なのかと思った直後、真っ青な上空から突如、ユナイテッド航空175便が現れ、今度はツインタワー南棟に突入、爆発炎上したのだ。もうもうと吹き出る黒煙が静かにたなびいている。はたしてこの世の現実なのか。前代未聞の航空機2機激突。なにかが起きている。それこそが大規模テロの始まりだった。

 テレビ前に集まってきた記者はおのおの「大変なことになった」「いったいなにがあったのか」と口にしつつ、何度も繰り返される激突映像と現地の生中継に食い入った。普段なら言葉数の多い記者も無言となり、みな一様に青ざめていた。緊張した様子なのはテレビのキャスターも同様で時折、声を震わせ実況していた。

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