加藤健一事務所「女学生とムッシュ・アンリ」
瀬戸早妃の魅力が全開
フランスで大ヒットし、映画化された作品の日本初演。
舞台は妻に先立たれ、独り暮らしをする元会計士の老人アンリ(加藤健一)の部屋。ある日、コンスタンスと名乗る女子大生(瀬戸早妃)が訪れる。アンリの息子ポール(斉藤直樹)が、父の身を案じて、ルームメート募集の広告を出したのだ。
気難しいアンリはしぶしぶコンスタンスの同居を認めるが、条件としてある提案をする。
「あんたの魅力で息子を誘惑して、女房のヴァレリーと別れるように仕向けるんだ」
アンリはなぜだか嫁が気に入らないらしい。コンスタンスは巧みにポールを誘惑するのだが……。
見終わった後、これほど心が癒やされ、あたたかな気持ちになった舞台は久々。それは何といっても女学生を演じた瀬戸早妃の魅力に負うところが大きい。
くるくる変わる表情、チャーミングなセリフ回し、ちょっぴりセクシーな躍動感あふれる演技。暗転になる直前に作る表情の豊かさ……彼女の一挙手一投足が実に蠱惑的(こわくてき)なのだ。