【対談】飯尾和樹×藤井隆 親友2人が語り合った仕事のこと
藤井 三谷さんの舞台で飯尾さんが本番中のとき、僕は稽古(14年に初演された「酒と涙とジキルとハイド」、3月に台北で上演され、現在は東京芸術劇場で再演中)だったんですけれど、三谷さんからもいろいろと稽古場での話を聞いてました。三谷さんは「飯尾さんがね」「飯尾さんがね」って、会話のアタマは必ず飯尾さんで、ロックオンされている感じでしたよ。
飯尾 またまた~。そんなことはないって。藤井くんと違って読解力がなくてね。山岡鉄舟の役だったんだけど、三谷さんに「北大路欣也さんのような感じでやってください」って言われたので、そのつもりでやったら、「それは声が低くなっただけですよ」って言われちゃったりね。
藤井 楽しそうな稽古場が目に浮かびます。いつも思いますが、飯尾さんのサービス精神を見習いたいです。仕事場でも飲んでるときでも、飯尾さんの周りはいつも面白い言葉があふれてるので尊敬します。僕は細かいことやつまらないことばっかり言ってるような気がします。
飯尾 いやいや、藤井くんは人の言葉やその意味を深く掘れるから。俺なんか掘るの浅瀬だからね!
藤井 「江戸は燃えているか」を拝見したときにね、本当に飯尾さんのことが好きでよかったなって思ったんです。中村獅童さんと体を触れ合うシーンがあったじゃないですか。
飯尾 じゃれ合う、ってところね。
藤井 そのじゃれ合うって言葉をお借りすると、キャッキャととても楽しそうでした。獅童さんがあんなワクワクとした笑顔でやるのって、相手が飯尾さんだからですよね。もちろん稽古のときから積み上げてきた関係性や関わり方はあるんでしょうけど、飯尾さんだからああいう空気になるんじゃないでしょうか。飯尾さんはもちろん山岡鉄舟なんですけど、「飯尾さんぽい山岡鉄舟」といいますか。おこがましいですが、お客さまが飯尾さんの場面で爆笑していらっしゃると、「でしょ、でしょ」って自分もうれしくなりました。
飯尾 藤井くんの舞台を何度も見させてもらっているけど、動いているときのミスター藤井隆はすごいよね。野球で守らせるなら、やっぱりショート。軽快だよ。ウチのやすとも話しているんですが、「隆のターンは一流」。軽やかで面白い。やすは藤井くんのことを「テレビの申し子」「エンターテイナー」って言ってます。
(構成・二口隆光)
▽いいお・かずき 1968年、東京生まれ。00年、相方のやすとお笑いコンビ「ずん」を結成。ボケ担当。「さんまのお笑い向上委員会」出演などコンビとしてはもちろん、個人でも活動中。本紙コラム「今週の○○師匠」(毎週月曜掲載)でもおなじみ。全国7カ所を巡るコントライブ「友近ワイド劇場」に出演中。
▽ふじい・たかし 1972年、大阪府生まれ。92年、YSP(吉本新喜劇プロジェクト)のオーディションを受け合格しデビュー。00年にはデビュー曲「ナンダカンダ」で同年の紅白歌合戦に出場。以降、舞台、ドラマ、映画、音楽と活動の幅を広げている。現在は、舞台「酒と涙とジキルとハイド」(東京芸術劇場プレイハウス)に出演中(26日まで)。