「オレは最初からわざわざ穴をあけた服は好きじゃなんだ」
「2004年ごろ、清志郎さんの絵がグッズTシャツの全面に使われました。サンプルを一緒に確認した時、ハプニングが……。プリントインクのしぶきが襟にまではみ出ていた。グッズ担当者は『これは液だまりなので、実際の出来上がりとは違いますから』と説明。じっと見ていた清志郎さんは、にんまりとして『この液だまりがいい! このまま液だまりでいこう』と即決でした。清志郎さんは奇抜なものが好きですからね。髪を立てたり、派手な衣装を着たり、パンクに間違えられた時もあった。でも、レコード業界や評論家によるグラムロック、パンクなどの安易なカテゴリー分けなんてどこ吹く風と眼中にない。長く続いた低迷期から試行錯誤を重ねて、ギターをおいてハンドマイクに持ち替えるなど、“見せる”パフォーマーとしてファッショナブル路線に転換したことが、80年の大ブレークにつながったのだと思います。ギラギラに飾っていくこと、そこには、観客の目を楽しませ、売れるための答えを追求するしたたかな清志郎さんがいるんです」
新しい衣装を作る時には、「衣装なんだから派手じゃないとね」といつも言っていたという。