興行的には大コケのピンチ…映画「億男」は見る価値アリ?
■実在の“億り人”を徹底取材
ストーリーは平凡な図書館司書の一男(佐藤健)が宝くじで3億円当せんするも、一番信頼していた親友の億万長者、九十九(高橋一生)に預けた翌朝、全額持ち逃げされてしまう展開。九十九の行方を捜す中で一男はさまざまな“億り人”と出会い、カネと人間関係、真の幸福とは何かを見つめ直すことになる。
「当たった3億円をわざわざ友達に預けて持ち逃げされるなど、一見マンガ的な設定ですが、本作最大の見どころであるアクの強い億万長者たちの言動には妙にリアリティーがあり、教訓になる部分も多い。これは川村氏が実際に多数の富豪を取材して、登場人物のモデルとして反映させたからです。中でも藤原竜也演じる怪しげなセミナービジネスの教祖は、長髪カツラでインチキくさい説法をして貧乏人をだまくらかす、いかにも最近のネット長者にありがちなキャラクター。その怪演ぶりには試写室も大爆笑で、現代的なマネーエンタメ作としても満足度は高い」(前出の前田氏)
興行収入は億万長者級とはいかなかったが、映画の中身は本物。大ヒットは「芝浜」のように“正夢”とはいかなかった。