「静かなる決闘」感染症で人生狂わされた青年医師心の叫び

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静かなる決闘(1949年、黒澤明監督)

 新型コロナの蔓延で、医師や看護師ら医療従事者の子供が「学校に来るな」「公園は立ち入り禁止」と偏見の声を浴びている。大人までがネトウヨじみた妄言を吐いているのだ。日本人の愚劣化もここまできたかと呆れてしまう。

 巣ごもり生活の中で見て欲しいのがこの「静かなる決闘」だ。黒澤監督が東宝を脱し、大映で撮った作品。見れば見るほど感動する。さすがは大映。いい映画をつくった。伊福部昭の音楽も心に残る。

 1944年、南方戦線の若き軍医・藤崎恭二(三船敏郎)は重傷の兵士・中田(植村謙二郎)の外科手術中に血のついたメスで自分の人差し指を傷つけてしまう。後日、中田が梅毒に感染していると知り、恭二は性病検査を受ける。結果は「陽性」。中田の病気がうつってしまったのだ。

 2年後、恭二は帰国し、父・孝之輔(志村僑)とともに小さな医院を運営していた。父も息子も貧しい人々に手を差し伸べるため医院の経営は楽ではない。妊娠して男に捨てられた元ダンサーの峯岸(千石規子)は見習い看護婦として雇ってもらいながら、恭二に反感を抱き、はすっぱな態度をとっている。

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