黒田福美さん オジサンらの思惑通りに酔い潰れて意識不明

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 芸能界きっての韓国通として知られる女優でエッセイスト、翻訳家の黒田福美さん(64)。お酒はかなりイケる口とご本人。お酒にまつわるエピソードもやはり韓国での体験だ……。

  ◇  ◇  ◇

 1984年、私が初めて訪韓した時、カルチャーショックだったのはお酒の席でのことでした。

 私がお酌をしようとしたら「酌婦のようなことをするな!」と言われたんです。韓国では親や夫以外の男性に、女性がお酒をつぐことはありません。つまり、酒席での接待を生業としている女性以外は男性にお酌をしないんです。

 そもそも酒席に女性が同席することはないそうです。もし旦那さんが同僚や後輩を家に連れてきても、そこで奥さんがお酌をして回るということもない、と。

 日本では男性にお酌をするのは普通で、いつも人のグラスを気にしなくちゃいけなかった。お酌しなければ「気の利かないやつ」と思われますが、私はもともと気の利かない部類だったので(笑い)、「こりゃあ、いい」と。韓国に行ったらお酒をつがなきゃとか、一切そんな気を使わなくていいんだとうれしくなりましたね。それで日本でも韓国スタイルを通そうと決め、面倒くさいことから免れました。

 当初、韓国へは公人的な立場で行くことがほとんどでした。酒席には韓国に駐在している特派員や日韓関係に携わる方々にゲストとして呼ばれることが多かったんです。彼らからすると三十数年も前だから、20代の女性が酒席に同席しているわけですよ。

■韓国と日本の酒席の習慣を実感したお酌、返杯

 韓国では自分が飲んだ杯を相手に渡して、返杯をする習慣があるので、オジサンたち一同の杯が私の目の前にズラッと並んで「早く飲んで杯を返してくれ」「返してくれなきゃ、俺が飲めないだろう」って待っているんです。

 オジサンたちが口をつけた杯よ。コチュジャン(辛みそ)がちょっと付いていたりしてね。それが何度か繰り返されるんですよ。私を飲み潰してやろうって思っていたのかもしれないわね。

 その思惑(?)通り、酔い潰れて、意識不明になりました。もう、ベロンベロンになるまで酔わされたんですよ。それで宿に帰ってバッグを開けたら、パスポートから何から何までなくなっていたんです。その時はTBSの特派員の方がコーディネートしてくださっていたので、「大変だ!」って電話したんです。

 その頃、日本のメディアの特派員は東亜日報のビルの中に詰めていました。そこへ行って、パスポートの再発行とかどうしようって相談していたら前日、私を宿まで送ってくれたという人がやって来て、「黒田さん、大丈夫ですか」って。

「ウチの妻が今朝になって『あなた、車の中にいろんなものが散らばっているけど、どうしたの?』って言うから、急いで見に行ったら、君のパスポートとかいろいろあったよ」って持ってきてくれたんです。でもね、私はその人に送ってもらったことさえ覚えていなかったの。そんなに酔っていたのに、翌朝は元気だったんです。あり得ないわよね。韓国ではかなり酔っぱらったとしても、次の朝にシンドイということがないの。頭が痛いとか気持ち悪いとか、一切ないんです。

一人旅して定食屋でソジュ(焼酎)をチビリチビリ

 好きなお酒はバーボンなんだけど、韓国の辛い料理には、やっぱりソジュ(焼酎)が合いますね。韓国のソジュって、ちょっと甘いんですよ。

 私は韓国の全道を紹介したくて、2000年ごろから基本的には一人で旅をしていました。お寺にもよく行ったので、門前にある山菜の定食屋さんで、1万2000ウオンくらいの山菜定食を食べながら、チビリチビリ、ソジュをいただくの。本当にオッサンみたいにね。でも、何といってもソジュに合うのは辛くてこっくりしたものですね。タコと唐辛子を炒めたナクチポックン。魚や魚のあらでダシをとった辛い鍋料理のメウンタン。豚の背骨とジャガイモを煮込んだカムジャタン。これらを肴にソジュをクイッとやるのが好きですね。

 不思議なのは韓国では二日酔いしないのに、日本で悪酔いすることはしょっちゅうなんです。最近は控えるようにしていますが、先日もお寿司屋さんで日本酒を3合か4合飲んで、翌日は一日中使い物になりませんでした。

 やはり、医食同源の韓国の食事が悪酔いしない秘訣なのかもしれません。

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