高橋伴明監督「痛くない死に方」終末医療の現実と理想の死
高橋伴明監督(71)が新作「痛くない死に方」で描いたのは、終末医療の現場である。いや応なく訪れる人生の末期、病院では延命治療が当たり前のように施されているが、それでいいのか。在宅で、延命措置を求めない「リビングウィル」の選択肢も含め、理想の死に様を考えさせる意欲作だ。
――これが遺作だと、脚本から手掛け、取材もされたそうですね。
「ええ。65歳を過ぎた頃から、死というものを意識するようになってまして。周りで身につまされる話もあり、自分はどのように死にたいのか、本を読み漁っていたら、在宅医療という道があり、リビングウィル、人生会議といった言葉が入ってきた。いざとなったときでは遅い、今やるべきことがあると気づいたのがはじまりでした。そして医学の進歩によって、延命が可能になった一方で、本来あるべき自然な死を迎えられない、死ぬに死ねないような状況に陥りかねないと知って、これはまずいと思ったんです」
――そして在宅医療のスペシャリスト、長尾和宏氏に出会い、診療の現場に立ち会ったりしたと。