著者のコラム一覧
二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

玉川発言が番組目玉 煽る報道は昔からメディアの常套手段

公開日: 更新日:

 その確率は90%とあり、元予報官の信憑性ある話に驚愕した。富士山噴火の影響で関東に大きな地震が起きるという話まで説得力を増した。テレビや週刊誌もこの話を取り上げ、騒動は拡大。富士山の麓近くの富士吉田市に取材に出かけた。普段だったら霊峰富士の姿を間近に見れば、「やはり日本一」と感嘆するのが、爆発と聞いて不気味に見えた。

「みんな真剣に引っ越しを考えている」という声もあれば、「大丈夫」という心配する様子のない人もいたが、メディアの多くは不安に震える住民の声を取り上げる。不安を煽るほうが関心度を増すからにほかならない。本は爆発的に売れた。

 列島挙げての騒ぎに時の総理・中曽根康弘は「科学的な根拠はありません」と爆発説を否定する異例の見解を発表した。騒動から1年後、富士山爆発の兆候もなく結果的に世間を騒がせただけで終焉した。すると、取材の矛先は本の作者である相楽氏に向いた。ほうぼう捜したが杳としてわからず、やがて世間からも忘れ去られた。

 自然災害とコロナを同じレベルでは語れないが、報道のあり方を改めて考えさせられた。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  2. 2

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 3

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  4. 4

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  5. 5

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  1. 6

    安倍派裏金幹部6人「10.27総選挙」の明と暗…候補乱立の野党は“再選”を許してしまうのか

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    79年の紅白で「カサブランカ・ダンディ」を歌った数時間後、80年元旦に「TOKIO」を歌った

  4. 9

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  5. 10

    《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド