骨太ドキュメント「コレクティブ 国家の嘘」モリカケと同じ腐敗構造を徹底暴露、投票前に見るべき映画
公開中のドキュメンタリー映画「コレクティブ 国家の嘘」が、世界中を騒然とさせている。ルーマニア語の映画として史上初めて米アカデミー賞の最優秀長編ドキュメンタリー賞、最優秀国際長編映画賞(元の外国語映画賞)にノミネートされた話題作だが、ルーマニアの医療・政治腐敗の構造を暴いた内容が、あまりに普遍的に各国に当てはまると話題になっているのだ。映画批評家の前田有一氏が解説する。
「政府がカネで結びついた“お友達”企業を優遇したうえ、その不祥事を率先してもみ消すという許しがたい腐敗ぶりを明らかにしています。驚くのは、権力者の犯罪行為を追及するメディアと、ごまかし続ける政権側の攻防の中で、すべてを知るはずの重要人物が自殺を遂げる展開です。赤木ファイルなど森友学園問題をはじめとする日本の疑獄事件とも構造がうり二つで、テレビ会見で平然と嘘をつくルーマニア保健大臣の姿は、国会で118回も虚偽答弁した安倍元首相や麻生前財務大臣の姿とかぶります。くしくも同様の評価は各国でもなされており、英国アカデミー賞など欧州の映画賞では絶賛、オバマ元米大統領の『2020年のお気に入り映画14選』にも選ばれました。この1年間で世界で最も高く評価されたドキュメンタリーといえるでしょう」