著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

五木ひろしの光と影<18>「先輩、実は新しい芸名が付いたんです」と青年・三谷謙は言った

公開日: 更新日:

 所属事務所まで決めて山口洋子はプロデューサーとして三谷謙の再起に着々と手を打った。後は「全日本歌謡選手権」で勝ち進むだけである。7週目(「伊太郎旅唄」橋幸夫)、8週目(「君は心の妻だから」鶴岡雅義と東京ロマンチカ)、9週目(「博多の女」北島三郎)と勝ち進み、ついに10週目を迎えた。

 場所は和歌山県民文化会館。曲は「雨のヨコハマ」という三谷謙自身のシングル曲だった。言うまでもなく有名な曲ではなかったが、存在をアピールするのにこれほどふさわしい曲もなかった。再デビュー曲が「よこはま・たそがれ」というのも念頭にあったのかもしれない。三谷謙は、見事10週勝ち抜いた。

 龍反町が事務所で三谷謙の姿を見たのは、数日後のことである。「三谷君おめでとう、やったな」と声をかけると「先輩、実は新しい芸名が付いたんです」と青年は言った。

「三谷謙」という名前をこれほど広めたにもかかわらず「再出発には新しい芸名を」という山口洋子の意向で、やはり「姫」の常連客の作家五木寛之から拝借して命名されたのだ。

 歌手「五木ひろし」はこうして誕生した。(つづく)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    前田健太「ドジャース入り」で大谷との共闘に現実味 日本復帰より「節目の10年」優先か

  2. 2

    井桁弘恵ショートカットで“山之内すず化”が加速! 「そっくり問題」いよいよ待ったナシ

  3. 3

    大阪万博は開幕1カ月を待たずトラブル続出…場当たり説明でGW後半の盛り上げムードに水を差す協会の大罪

  4. 4

    巨人阿部監督はなぜ田中将大にだけ甘いのか…2試合連続炎上でさすがに二軍調整も

  5. 5

    小田和正「77歳の現役力」の凄み…現役最年長アーティストが守り続ける“プロ意識”

  1. 6

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  2. 7

    ダウンタウン復帰が外部資金でコンテンツ配信のナゼ…松本人志に浮上した疑惑の顛末

  3. 8

    斎藤元彦・兵庫県知事が頑迷に貫く「治外法権」…公益通報を巡る国の勧告もガン無視

  4. 9

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  5. 10

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???