「チコちゃん」マナー講師の炎上で透けたNHKの劣化…安易な企画と演出はもう通用しない
「チコちゃん」の制作陣はマナー講師による厳しい指導の末、「上品です。しっかりとレディーになられた」と女性スタッフを褒めて大団円にしたかったのだろう。民放の教養バラエティー番組などでもありがちな絵面だが、NHKは厳しいキャラで知られる平林氏に出演オファーすれば、テレビ的にわかりやすい演出になると判断したようだ。
しかし、演出側にしっかりとした意図と緻密な計算があれば、同じ平林氏の出演でもこうはならなかったはずだ。
「少し例が古くなりますが、2013年11日放送のフジテレビ系『全力教室』のケースと比較すると分かりやすいかもしれません。美容家でタレントのIKKOさんが"汚部屋"で暮らす女性たちに『内面から美しくなること』をテーマに授業を展開でした。IKKOさんが1人の女性の“ある発言”にスタジオの空気が一変するほど激怒し、ウィッグを取って怒鳴る場面がありましたが、問題にはなりませんでした。そこにきちんとした美学だったり、激怒するに至る必然性があれば視聴者も自然に受け入れられるのです。ところが、今回の『チコちゃん』における平林さんの指導は、女性スタッフの一挙手一投足の揚げ足をとっているかのような運びでした。演出に問題があったのか企画が悪かったのか……いずれにせよ失敗だったと言わざるを得ません」(バラエティー系制作会社スタッフ)
NHKは教養バラエティーに強いイメージがあるが、「ガッテン!」や「バラエティー生活笑百貨」など、長年の固定ファンがついている長寿番組が次々と打ち切りになった。職員のモチベーション低下が番組制作の劣化につながっている面もあるのかもしれない。