戦前や明治どころか、日本は天保の時代から1ミリも変わっていない!
現在、長谷川伸の「瞼の母」をある劇団のために脚色している。昔映画で大流行した股旅ものの代表作、最近では草彅剛さんも演じ、歌舞伎では中村勘三郎の当たり狂言であった。
天保の時代、利根川の周辺、今の鹿島神宮のある茨城県、常陸国と利根川流域の千葉県、下総国。ここに笹川繁蔵と飯岡助五郎の2大勢力が覇を競っていた。
これが俗に言う「天保水滸伝」の舞台だ。「瞼の母」はそのスピンオフのような作品である。
いろいろ調べていくと面白い。侠客というのは要は地元の実力者。荒くれ者をまとめて子分にし、地元の治安や利権を守る。農民側に回れば頼もしい親分になり、権力の手先になれば悪役になる。
収入は各地で開かれる博打場だ。とくに鹿島神宮の祭りでは賭場は盛大に催される。また祭りは飢饉や厳しい年貢に苦しむ農民たちの息抜きでもある。まさにアメとムチ。農民に不平を言わせず働かせるためだ。