ピン芸人やす子さんは自衛官から転身「習性で上の人は絶対。『辞める』と言えず」
ソニーの事務所がすぐ面接してくれることになり、劇場での面接の日に新人の若手芸人がたくさん出るライブに出場することになったんです。そしたら女友だちが1週間前から返信してこなくなり、「怪しいな」と思っていたら、面接とライブの日に来なかった。でも、すっぽかせないですし、一人で行きました。生まれて初めてお笑いのライブをやる豊島区・千川のびーちぶという劇場に入った瞬間「汚い!」とビックリ(笑)。
地下だし、小さいし、汚いし、ここに本当にお客さんが来るのかな? と。芸人さんもテレビで見たことない人ばかりだし、怪しい事務所なのかと。でも、マネジャーさんが面接で私の身の上話を聞いてくれて、「君みたいに苦労してる人は売れるって言うよね」と熱く言ってくれたのが、今思えば大きかった。
■朝6時起床のストイックな生活から一転
面接後の人生初舞台はお客さんが2人。コンビのネタを変えて一人コントにして、自衛官のようにただ任務を全うする気持ちでやりました。自分の人生プランに芸人はなかったですし、「もう今日で来ない」と思っていたのに、作家さんからダメ出しされ、「来月のライブは〇日ね」と言われて。自衛官の習性で上の人は絶対なので、「また来月も来なきゃいけない!」と思ってしまって。「辞めます」と言えなかったんです。