六平直政さん「オレの髪がフサフサだった頃、唐十郎さんと長男・義丹と伊豆で撮った1枚は…」

公開日: 更新日:

六平直政さん(俳優・68歳)

 コワモテにドラ声、迫力満点の俳優・六平直政さん。超個性的なバイプレーヤーとして、最近では映画「太陽とボレロ」などで活躍している。そんな六平さんの俳優活動の原点は舞台。劇作家・唐十郎率いる劇団「状況劇場」だった。

  ◇  ◇  ◇

 オレは進学校の都立国立高校から武蔵野美術大学、同大学院に進んで彫刻を専攻する真面目な学生だった。ところが、当時、付き合っていた女の子が唐十郎の大ファンだっていうんで、「状況劇場」の芝居を一緒に見に行ったら、面白くてね。

 ある日、新聞に「状況劇場」の求人広告が出ていたので、舞台美術をやったらどうかなと思って応募したら合格。それから役者として舞台に立つようになって、ここまできたんだから人生わからない(笑)。

■唐さんはとにかくケチ

 でも、唐さんはとにかくケチ。オレは「状況劇場」に10年近く在籍したんだけど、その間にもらったお金は20万円もなかったんだから。

 文句を言いたくても唐さんは座長でこっちは下っ端。「嫌なら出てけ」と言われるだけだから何も言えなかった(笑)。

 仕方なく、ドブさらいから飲食店のボーイから何百種類ものアルバイトをしてしのいだわけだけど、それでも劇団を離れなかったのは唐さんの書く素晴らしい(台)本で芝居ができたから。それだけが理由だね。

 その唐さんと看板女優だった李麗仙さんの長男が、俳優で作家の大鶴義丹。劇団に入った時、オレは23歳で義丹はまだ9歳だったから、釣りに連れて行ったりしたよ。これは唐さんと3人で伊豆に行って、唐さんがオレと義丹を撮った写真。オレの髪もまだフサフサだった頃(笑)。この写真では海風に吹かれてクルクルしてるけど、オレの髪はもともとストレートなんだよ。

 義丹は頭がよくて本を理解する能力がすごい。それにオヤジを反面教師にしてケチじゃないから好きなんだ。ヤツが若い頃、やんちゃして六本木のバーの壁に穴を開けちゃったことがあって、オレがその穴を後で埋めるために行ったこともあったな(笑)。

 その坊やが今じゃ54歳で、オレと一緒に芝居してるんだから不思議だよな。6月に花園神社の境内に張ったテントで、唐さんが自身のことを書いた「下谷万年町物語」で共演したんだ。オレはオカマ役で、義丹はヤクザ役。そうそうたる俳優らが見に来たよ……豊川悦司寺島しのぶ、岸部一徳、宮沢りえ森田剛、波乃久里子、渡辺えり、せんだみつお、岸本加世子、余貴美子……チケットがなかなか取れなかったんだから。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  2. 2

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  3. 3

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  4. 4

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  1. 6

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  2. 7

    永野芽郁“二股不倫”疑惑でCM動画削除が加速…聞こえてきたスポンサー関係者の冷静すぎる「本音」

  3. 8

    佐々木朗希が患う「インピンジメント症候群」とは? 専門家は手術の可能性にまで言及

  4. 9

    綾瀬はるかは棚ぼた? 永野芽郁“失脚”でCM美女たちのポスト女王争奪戦が勃発

  5. 10

    江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり