言葉によるコミュニケーションの訓練を担う「言語聴覚士」が重要なのはなぜか
リハビリ治療は、“監督”である医師を中心にチームで進めていくものです。
直接患者さんとリハビリ訓練を行うスタッフのうち、今回は「言語聴覚士(ST)」についてお話しします。
言語聴覚士は、病気やケガの後遺症によって、「話す」「聞く」「読む」「書く」といった言葉によるコミュニケーションや計算に問題が生じた患者さんに対し、言語、聴覚、発声、発音、認知などの機能の回復を目指し、リハビリ訓練を行う専門職です。
ただ、話すことができなくなってしまった患者さんは、「話す」という機能だけがダメになってしまうわけではありません。言葉によるコミュニケーションに問題が生じると、注意力、記憶力、遂行力、修正力、持続力などが低下しますし、他人を嫌って避けるようになったり、感情障害や精神障害も起こります。
言語聴覚士は、そうした問題や障害の心のケアや改善に関わっていくのも大切な役割です。
脳血管障害、頭部外傷、脳腫瘍などにより脳の言語をつかさどる部分が損傷して失語症が起こった患者さんに対しては、その方の失語症のタイプや状態をしっかり評価したうえで、言語聴覚士がさまざまな訓練を実施します。