TBS「報道特集」金平茂紀キャスター降板で20年前の「ザ・スクープ」打ち切りを思い出した
私は20年前のことを思い出していた。鳥越俊太郎がテレビ朝日の「ザ・スクープ」を追われたときのことだ。当時は警察の裏金問題を徹底追及していた。番組打ち切りの方針が明らかになると、反対の声が上がり、弁護士、大学教授、ジャーナリストによる「存続を求める会」ができた。シンポジウムを開催し、共同通信元編集主幹・原寿雄は「アメリカでは、良質の報道番組が終わろうとすると新聞など他メディアがキャンペーンを行う。社会が番組を育て守る運動が、もっと日本で活発になっていい」と話した。署名活動も始め大きなムーブメントになった。
末席にいた私は、藤田謹也弁護士らと3人で「番組を中止するな」とテレ朝に乗り込んだ。応対に出たのは、今は会長になり「テレ朝のドン」といわれている早河洋だった。
早河はのらりくらりと焦点をぼかしていたが、「年に何回か特番をやる」という言質を取った。「ザ・スクープ」はその年の9月にレギュラー終了。年に何回かの特番が、やがて年1回になり、フェードアウトしていった。メディアの取材に鳥越は、「テレビにとって最低限守るものは何か、ということについてテレビ局がどこまで真剣に考えているのか、一抹の不安を感じる」と語っている。