イルカさんが初めて明かした歌う喜びの“原点”と名曲「なごり雪」秘話

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父の影響で歌手に

 私がヤダヤダとぐずるけど、おばちゃんたちに「としえちゃん(本名)、歌ってよ」と言われて、ちっちゃい声で「バイヤ~」って歌うと、「ウワー、うまいね」って褒めて拍手してくれた。その時に、私が歌うとみんな喜んでくれるということがインプットされたんだと思う。それが私の中で根付き、歌うと拍手をいただけてうれしいということが、今に至るまで地下水のようにつながっている……最近になってそのことに気がつきました。

 初めてお話しする、蔵出しですよ(笑)。2005年に父と一緒にジャズアルバム「エニー・キイ・OK!!」を出した時に、この歌も入れたいと思いました。その時も私が初めて歌ったのは「鳩ぽっぽ」よりも先に「バイヤ・コン・ディオス」だったのかなと思ったので、この歌は私にとって何だったのか、今回改めて調べ直してみました。

 歌手になったのは、やはり父親の影響が大きいですね。中野から箱根まで通うのが大変なので鎌倉に引っ越し、そこに3年いて、また中野に戻って、今度は若葉荘に移りました。父は昼は歌謡曲のレコーディングをやり、アレンジャーでもあったので、帰ってくると夜中までオープンリールで原曲を聴きながら譜面書きをやっていました。例えば「PAPA LOVES MAMBO」を聴きながら写譜をして、アレンジし、翌日演奏するというのを毎日やっていた。若葉荘で私が寝ているのは襖一枚隔てた部屋だから、一晩中「PAPA~」と流れているから、朝起きると全部覚えちゃってて。英語の曲でも頭から細胞に入っていたんでしょうね。

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