ミュージシャン永井真理子さんは今 10年の休業を経て「残りの時間はみなさんに捧げます」
永井真理子さん(ミュージシャン/55歳)
バブル景気真っ盛りの頃、アニメ「YAWARA!」(日本テレビ系)主題歌の「ミラクル・ガール」や、「ZUTTO」などをヒットさせた永井真理子さん。ボーイッシュなショートヘア、力強く伸びのある歌声で、聴く人を元気にしてくれた。さて永井さん、今、どうしているのか。
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永井さんに会ったのは、東京メトロ・銀座駅から徒歩5分の喫茶店。
「2017年に音楽活動を本格的に再開しました。それまで、実は10年近くお休みし、ブログに年2回、デビュー記念日と誕生日ぐらいしか近況報告をしていなかったんです。それなのに、デビュー30周年の17年に向けて、ファンの方が『何か動きがあるんじゃないか』とたくさん書き込んでくださって……。それを読むうち、『こんなに長い間、待っててくれているなんて』と涙がこぼれました。それに加え、昔の音楽仲間に『やろうよ』『場所押さえたから』と背中を押され、『やったるでー!』と、一気にエネルギーが湧いてきたんです。半年かけてボイストレーニングやランニングをして歌える体にし、再開後は多いときは年30本公演し、新曲やセルフカバーを配信とCDでリリースしています。ちょうどいい感じでやれていますね」
永井さん、そう言って笑った。10年近くも休んだとは、何かあったの?
「デビューしてからずっと忙しかったので、海外暮らしを経験してみたくて、2003年に日本を離れ家族でシドニーに移住したんです。最初の1、2年はアルバムを製作したりしたんですけど、急に時間ができて過去を振り返ってみたら、『自分はちゃんとやれてたのかな』『やり残したことばかりで、年だけとったんじゃないか』と自信をなくし、ステージで歌っていたことが夢の中の出来事のように思えてきました。そんな心境では人前に立てません。『そろそろまたやろう』『いや、もういいんじゃない』などと心の中でずっと葛藤しながら、日々の生活を送っていました」
家族というのは、1993年に結婚したツアーバンドのギタリストの夫と、96年に誕生した1人息子だ。
「息子が小学校に上がるタイミングで移住しました。最初は米国や英国を考え下見をしたんですけど、豪州の方が人種差別が少なく子供にとっていいと感じシドニーにしました。でも、そもそも英語がわからないので苦労の連続(笑)。そのぶん、家族が力を合わせないと生きていけず、絆が深まりましたね。子供を現地の公立学校に入れ、私はお弁当を作って持たせ、毎日車で送り迎えし、息子がテニスにハマっていたので練習に付き合い……普通のお母さんとして、家族に尽くしていました(笑)」
しかし、ご主人は? 仕事はどうしていたのか。
「作曲やプロデュースをしていたので、日本にいなくてもネット上でできるんです。レコーディングのときだけ帰国していました」
なるほど。
「シドニーは庭にフクロウが来るような自然がいっぱいで、学校教育は自由だしで息子が気に入って、結局、10年間いました。でも、やはり自分の生まれた日本も知ってほしいという思いなどがあったので、高校進学に合わせて帰国しました。今はもう社会人。音楽は趣味でやっています」
母親が歌手だったと知ったのは帰国してからだそう。さぞ、自慢の母親だろうなあ!