はっきり言おう、ミスコンなんて時代錯誤のイベントもうやめちゃいませんか?
ミス日本協会の公式サイトによれば、応募資格は「日本国籍を持つ17歳から26歳までの未婚の女性」。椎野さんはこれを満たしている。
だがSNSには「差別ではなく区別」という常套句を用いて、なぜ椎野さんがミス日本にふさわしくないか熱く語る人たちがいる。どうやら〈日本らしい美しさ〉の更新に抵抗をおぼえているように見受けられる。帰化申請を経て日本国籍を取得しているにも拘わらず、グランプリ獲得後も非難の対象になってしまう椎野さんは、じつにお気の毒というしかない。
ただ、差別か否かという観点で考えるなら、ミスコン自体がルッキズム、つまり外見差別の権化ともいえるわけで、この問題にはいくつかのねじれが含まれている。
■ミス日本コンテストは役割を果たした
かつてミス日本には大きな社会的役割があったことを、50代のぼくは辛うじて知っている。終戦後の食糧難の時代、アメリカから届いた「ララ物資」は栄養失調の子どもたちを救った。1947年、アメリカ国民に感謝の念を伝えるために衆議院で緊急の感謝決議が採択され、3年後にアメリカへ女性親善使節を派遣することが決まった。