「セクシー田中さん」問題で注目…漫画家と編集者との関係と仕事ぶりはどうなっている?
専属チーフならフェラーリを所有
人気マンガ家の原稿料はページ10万円前後で、そのクラスは10人近くのアシスタントが仕事を分担。専属アシスタントは月給制で、そのトップのチーフアシスタントになると、フェラーリを所有している人もいます。
独立を目指す新人にとって有名作家の下で働くメリットは、計り知れません。作業を生で見られ、技術を習得できるからです。「SLAM DUNK」の作者・井上雄彦さんは、「シティーハンター」の作者・北条司さんのアシスタントを経てデビューしています。
一方、かつて週刊誌に連載していたTさんは、アシスタント代を稼ぐため新聞配達のバイトをしていたそうです。「連載が長期化して、作品のコミック化で印税が入るようになってようやく経済的に余裕ができた」と苦笑いしますが、いまはスーパーの社員です。
「マンガは描きたいけれど、編集者とやり合うパワーがもうなくて。好きな絵を描いて、たまにSNSにアップするのが関の山だよ」
作家と編集者とのやりとりはどちらにも大変です。編集部の意向と作家の思いとの板挟みで編集者がうつ病になり、自殺に追い込まれることもあるといいます。
■ギャラの配分は原作者6:作画者4
マンガ家にとってペンは大事な商売道具です。Gペンは躍動感のある線を描け、「ONE PIECE」の尾田栄一郎さんをはじめジャンプ系の作家に人気で、Gペンで仕上げた完成原稿は鳥肌モノの美しさです。原稿用紙はマンガ専用も市販されていますが、B4のケント紙を使う人が多いと思います。
繊細な線は丸ペンで、Gペンとともにインクをつけて使用。インクつけが面倒な人はミリペンです。特別な線が必要なければ、ミリペンの方が効率よく作業できます。
作画の次はトーン貼りで、トーンを貼ってからカッターで削ることで、さまざまな演出効果が生まれます。「MASTERキートン」でおなじみの浦沢直樹さんは、トーンの活用が上手だと思いますが、これが苦手な人は少なくありません。
最近は、PCで作業する人もいます。PC派の場合、アシスタントはリモート作業も可能です。アナログとデジタルを使い分ける作家が締め切りに追われているときなどはPCでトーン貼りをすれば、作業時間を大幅に短縮できます。
PC派が作品をSNSに発表してバズることで、コミック化されることも増えています。泉朝樹さんの「見える子ちゃん」や「100日後に死ぬワニ」(きくちゆうきさん)などがその典型です。
締め切りは、週休2日を守りながらギリギリ間に合わせる人が多いようです。「こち亀」の秋本治さんは5本先行していたそうです。
作品によっては、原作者と作画者が分かれています。ボクがアシスタントをしたグルメマンガもそうで、その週のテーマとなる食材についてのメモが原作者からファクスで送られてきました。たとえば「○○産と△△産のサンマは脂の乗り方が違う」「こうすればおいしく焼ける」などで、作品の展開やキャラ設定などは作画者任せでした。
ネームができると、原作者が味や産地、言い回しなどをチェックしていました。「絵は描けても、ネタを作れずに苦労しているマンガ家は少なくない」(Aさん)そうです。ギャラの配分は、原作者6:作画者4だったと編集者から聞いたことがありますが、その配分はコンビによって違うと思います。
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人気作家になれば、高収入間違いナシ。絵心がある人はチャレンジしてみますか?
(イラスト・文=太田由紀)