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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

客観性と愛情を両立 絶望を経て培ったノブコブ徳井の諦観を含んだ批評眼

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 しかし、入学して間もなくの夏ごろ、のちにピースを組む2人が桁違いに面白いことに気づき、早々に「同じ時期にお笑いを始めて、もうこんなに面白いやつらがいるのか」と才能の差を感じ、「ダウンタウンになれない絶望」を味わった(「敗北からの芸人論」)。

 そんな徳井が注目されたきっかけのひとつは、その“奇行”だった。10~11年に放送された「㈱世界衝撃映像社」(フジテレビ系)の部族ロケで、徳井は食用の幼虫を、相方の吉村がセオリー通り嫌がるリアクションをする横で、無表情のまま、スナック菓子を食べるようにボリボリと食べたり、さらっと5年前に結婚していたことを明かしたりした。相方にも言っていなかったのだ(その後の離婚、再婚も)。どこか、感情の起伏がない不可解な言動は異質だった。

 彼は前出の自著で「良いことだろうと悪いことだろうと、世の中のこと全ては真に受けちゃいけない」とつづっている。絶望を経て培った諦観を含んだ人生観があるから、一歩引いて芸人やバラエティー番組を見て、客観性と愛情が両立した分析ができるに違いない。

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