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桧山珠美コラムニスト

大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」に「今月のダラクシー賞」を長期連載中。

岐路に立つTVドラマ…「ふてほど」ギャラクシー賞2部門受賞と「SHOGUN 将軍」世界ヒットの暗示

公開日: 更新日:

 先日、行われた「第61回ギャラクシー賞」贈賞式で、テレビ部門「特別賞」、そして視聴者から最も愛された番組に贈られる「マイベストTV 第18回グランプリ」をダブル受賞したのがTBSドラマ「不適切にもほどがある!」だった。

 1986年に生きる昭和の体育教師・小川市郎(阿部サダヲ)が2024年にタイムスリップ。昭和、令和を行き来する中でコンプライアンス、ハラスメントに過敏な令和のおかしさや昭和の無法っぷりを浮き彫りにする社会派コメディードラマとして話題をさらった作品だ。

 磯山晶プロデューサーや演出の金子文紀、サプライズゲストとして主演の阿部が登壇し、喜びを語っていた。印象に残ったのは磯山Pの「とにかく守りに入らなくてよかったなと今日改めて思いました」という言葉。宮藤官九郎の脚本を読んで「『おい、起きろブス! 盛りのついたメスゴリラ!』という最初のセリフを読んでドキドキし、宮藤さんのこの攻めの姿勢を大事にしなきゃいけないと思った」と語っていた。

 舞台をテレビ局にしたことで「こたつ記事」や「番組を見ていないアンチ」に振り回され、身動きがとれなくなっているテレビの現状を暴いた意義も大きかった。

 残念なことに、この上半期は「ふてほど」以上に話題になったドラマはない。昨今、ドラマの数は増える一方で、スタートする前は番宣などで話題にはなるものの、いざ始まってみたら、ほとんど見られていないものばかり。嘆かわしい。

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