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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

周りの目は正しいと悟り 唐沢寿明は役者として突出した個人になれた

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 やがて、自分自身のキャラクターとは合わないと思っていたトレンディードラマに出演すると、ブレークを果たした。だから「衣装とか、メークとか、ヘアスタイルとか、自分で決めたことは一度もないんですよ。それはやっぱり、はたから見て『この役だから、この衣装を持ってきました』って衣装さんが持ってくるわけじゃないですか。それを着るのが一番正しい」(NHK・Eテレ「SWICHインタビュー達人達」2015年12月19日)と考えるのだ。

 特撮時代に「個人プレーはダメ」だと学び、デビュー当初に「周りの目が正しい」と知った。だからだろう、唐沢は何よりも周りの人たちを大事にしている。「唐沢会」と呼ばれる飲み仲間は、谷原章介伊藤沙莉、広瀬アリス窪田正孝、宇多田ヒカルら錚々たるメンツが名を連ねている。

 その初期からのメンバーである及川光博は、私生活では“引きこもり”気味だった時期に、唐沢が半ば強引に温泉に誘い出し、心を開かせた。及川は唐沢のことを「アニキ」と慕い、「僕の外食費はほとんど唐沢さんがもってるんじゃないかって」(フジテレビ系「めざましどようび」15年2月7日)と笑う。

 近年では妻・山口智子と夫婦そろってチャリティー活動も積極的に行っている。冒頭の番組でも「自分のためにはやらないんですよ。誰かのためにっていう方が、やりやすい。頑張れる」と語っている。個人ではなく周り第一。だからこそ、逆に役者個人として突出した存在になったのだ。

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