趣里の演技に共感できるのは…“天才ゆえに孤独を抱える主人公”を巧みに表現できるから
日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞し、演技派として高く評価されるきっかけとなった18年公開の「生きてるだけで、愛。」ではそううつ病と過眠症でひきこもり生活をする主人公を演じ、23年公開の塚本晋也監督作品「ほかげ」では時代に翻弄される居酒屋の女を演じた。
考えてみると、実父の水谷豊が「相棒」(今秋、シーズン23が放送)で演じている杉下右京も、片隅に追いやられた部署に属する孤高の変人だ。
朝ドラ「ブギウギ」では戦後の日本を明るく照らした「ブギの女王」を演じたが、彼女の演技史からいえば異色のタイプの役で、“新しい趣里”を感じさせた。
趣里が今秋の「モンスター」で演じる弁護士は、どちらかというと“王道の趣里”。高校3年生で司法試験に一発合格し、手段を選ばずに裁判に勝つことを目指す天才弁護士役で、すぐれた才能を持った役という点では、前クールの「ブラックペアン」の猫田に通じる。
趣里は、こうした仕事がデキる天才役が似合う女優でもある。「ブギウギ」で演じた福来スズ子も、歌手や俳優としてのずばぬけた才能を持つ人物だった。