藤井健太郎演出アマプラ「KILLAH KUTS」が物議…バラエティー界の先頭を走るテレビ局社員の戦い
■会社員だからこそのフルスイング
麻酔で筆がおぼつかなくなり、ろれつが回らなくなっていく3人の姿には生々しいものがあった。医療関係者や視聴者に配慮し、収録と併せて“胃カメラ検査を行う段取り”ではあったものの、日本麻酔科学会が「麻酔薬の安全な使用に対する信頼を損なう」などと番組を非難する事態に。配信が始まって間もなく賛否を呼ぶこととなった。
これまでも藤井氏は、「水ダウ」の企画でたびたび物議を醸している。「なるべく面白くて、なるべく見たことのない」企画・番組を目指す中で、一定数から批判を受けるのは仕方がない。そんなスタンスを貫き、長らくバラエティーのトップを走ってきた。
一方で、ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」(フジテレビ系)のエンディング曲をプロデュースし、音楽イベント「STILL MORE BOUNCE」を主催し、「大脱出」シリーズや「鬼のドッキリで涙」(ともにDMM TV)といった配信番組を制作するなど、テレビ局員とは思えないほど幅広い活躍を見せている。
それもこれも藤井氏に言わせれば筋が通った話だ。著書「悪意とこだわりの演出術」(双葉社)の中で「会社員のエセクリエイターだからこそ、小さくまとまらずに思いっきりフルスイングしなくちゃいけないはず」と書いている。2年前、筆者がインタビューした折にも、旺盛な好奇心とロジカルさの両方を感じる発言が多かった。