女優・剣幸さん「中畑清さんの引退試合のホームランを見て退団を決めた」
高校3年の夏休みにバレエを習い始め、宝塚にも行きました。その時に初めて宝塚のショーを見ました。花組の甲にしきさんの「浜千鳥」と瀬戸内美八さんの「人魚姫」。この世の中にこんなものがあるんだ、「きれい!」と感じましたね。受験までにはいろんな人が協力してくれました。高校の先生が神戸出張のついでに宝塚の音楽学校に寄って、「富山の工業高校で何もしてない子ですが、受けられますか」と聞いてくださったり、吹奏楽部の先生が「宝塚を受けるんだって?」と声をかけてくれて、試験の出る範囲の対策をしてくださったんです。
その結果、宝塚に見事合格(74年)。ただ、ショックだったのは父親からは「30歳まで結婚は考えるな」と言われたこと。「おめでとうじゃないんだ」って思った。あの言葉は忘れられません。
入学すると周囲とはレベルが違い過ぎて自分が来る世界じゃないと思いました。でも、楽だったのは「劣等生だからできなくて当然」と思えたことです。そんな中でも私はギターを弾いていたおかげで、三味線には馴染みがあるから得意で、タップとか日舞とか、いろんなものを教えてもらえるのも楽しかった。