(4)上司の立場にも気づいてもらう…外部の専門家のサポートが望ましい
小学生の頃からずっといじめにあい、大学時代の2年間引きこもっていたKさん(男性38歳)は、今、就労支援施設に通っています。将来の就業に備え、IT知識を学ぶためです。
「以前の仕事は簡単なルーティンワークばかりでしたが、それでも規則を守り、周囲に気を使うのがつらい毎日でした」
Kさんを指導していた上司(メンター)は59歳、カウンセリングなどの専門知識を持っておらず「根性論」を振りかざす人だったそうです。
「当時の職場では緊張を強いられ、メンターに相談しても自分の訴えが分かってもらえず、話がすれ違っていました。だから相談するのを諦めました」
Kさんが頼ったのは、医療心理士の小野幸子・さち臨床心理研究所所長でした。
「上司から何か言われるたびに先生に相談しました。先生からのアドバイスは、自分のつらさだけでなく、上司の立場やつらさに気づきなさいというものでした」
自分だけの世界からものを見るのではなく、相手の立場に立つことも必要だと、Kさんは気づかされたそうです。