今にも通じる重苦しい時代にヒットした音楽だからこそ、振り返る意味も価値もある
序論:1975年の「ニューミュージック」を今語るべき理由②
拓郎、陽水、ユーミンという「GREAT3」が君臨し、達郎、浜省、みゆき、永ちゃんという「BIG4」がデビューした1975年。音楽シーンを取り巻く時代全体は、どんな雰囲気だったのか。
私の小3の頃の記憶をたどると、今=2025年に近い時代の空気が浮かび上がってくる。
つまり、ちょうど半世紀というタイミングに加え、今にも通じる時代の中で生み出された音楽だからこそ、今、振り返る意味も価値もあると思うのだ。
まずは何といっても、今と同様に景気がメタメタに悪かった。
73~74年のいわゆる「オイルショック」の打撃は深刻で「不景気」「物価高」「インフレ」のような文字が、毎日の新聞紙面に飛び交っていたと記憶する。
そういえば、当時の大阪によく発生した「光化学スモッグ」は、「空気を恐れる」という意味で、コロナに近いものがあった。スモッグとは、大気汚染によって、夏の暑い日に空気がかすんでしまう現象のこと。
光化学スモッグの注意報が出たら黄色い旗、警報が出たら赤い旗が校門に掲げられ、体育の授業が中止になる。運動が苦手な私はラッキーと思ったものだ。