「高齢者の運転」どこまで許容する? 同乗して確かめる機会を持つ
東京や大阪などの都心に暮らしている限り、交通インフラで困ることはない。どこに行くにも豊富な選択肢があり、公共交通だけで十分に生活が成り立つ。それは都道府県別の自家用乗用車世帯当たり普及台数を見ても明らかで、全国平均が1.016なのに対し、東京は0.410とぶっ千切りの低さ。大阪や神奈川なども1台を割っている。
逆に一家に1台を大きく超えている筆頭の都道府県は1.685の福井。富山、山形が僅差で並ぶ。通勤・通学・買い物など、車なしでは生活が成り立たない地方の事情がうかがえる。
ただ、運転には常に事故のリスクが伴う。とくに身体機能の低下した高齢者はそれが顕著であり、逆走やアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故のニュースはその典型だろう。そこで今は免許証更新時に70~74歳なら高齢者講習。75歳以上で過去3年以内の違反歴なしなら認知機能検査、違反歴ありだと運転技能検査にも合格することが求められ、免許証の返納という制度ができた。
しかし、この返納はあくまで自主返納が基本。認知機能検査で引っかかっても即返納とはならず、専門医による再検査で認知症と診断されない限り強制的な取り消しや停止にならない。技能検査も更新期間中なら再審査を受けられる。つまり完全なクロでない限り免許証は維持でき、車を手放すキッカケになりづらい。