スマイリーキクチ ネットで繰り返されたいわれなき誹謗中傷
当初、キクチは疑問に思うだけで騒ぎが大きくなるとは思っていなかった。事務所HPで否定したが、「犯人じゃない証拠を出せ」と動けば動くほど火に油状態。内容も「家族を全員同じ目に遭わす」「スマイリー鬼畜は殺す」などとエスカレート。困ったキクチは2000年6月、四谷署に被害届を出した。
捜査の結果、1週間ほどでとくに悪質な書き込みをした数人の身元も分かった。だが、「特定した人物が書き込んだと立証することが難しい」と捜査は打ち切られた。キクチは「ボクが気にしなければいい」と自分を納得させ、ウワサも一時は沈静化した。
ところが、05年1月に警視庁の元刑事を名乗る人物が出版した本が状況を一変させる。「犯人のひとりは出所後お笑いコンビを組み芸能界デビューした」と書かれていたことから噂が再燃。再び中傷が山のように押し寄せる。再び警察に駆け込んだが、最初のうちは「こんなのは遊び」「あなたが殺されそうになったとかでなければ事件にできない」と相手にしてもらえなかった。
しかし、ネット犯罪に詳しい中野署刑事課の警部補が真摯な対応を約束。捜査の結果、08~09年に特に悪質性の高い19人が検挙、うち7人が書類送検された。ネット書き込みでの一斉摘発は初のケース。新聞でも大きく取り上げられた。7人は結局不起訴となったが、キクチの名誉は10年越しでようやく回復した。