濡れ場に釘付け 宮沢りえ「主演女優賞」で吉永小百合と激突
試写会でひと足先に観賞した映画評論家の秋本鉄次氏が言う。
「年下男を相手にリードするのですが、とにかく艶っぽくなまめかしい。セックスシーンだけでなく、すべてにおいて覚悟を決めた平凡な中年主婦の突破力の凄さを見事に表現していました。米映画『テルマ&ルイーズ』(91年)を彷彿とさせる内容。無難で貞淑な役柄ばかりで、このまま吉永小百合路線にいくのかと思いきや、今作で邦画界の“犯罪者役を演じさせたらピカイチの女優”に躍り出た。よくぞ脱却なさった! と称えたい」
吉永が主演だけでなく、初めて企画も手がけたのが「ふしぎな岬の物語」。9月のモントリオール世界映画祭で審査員特別賞グランプリを獲得、国内でも11日に封切られ、ぴあ調査の初日満足度ランキングでもトップになった。大胆な濡れ場で新境地を切り開いた宮沢は、安定感たっぷりの大女優に打ち勝つことができるか。これから年末にかけて本格化する賞レースの行方が楽しみになってきた。