著者のコラム一覧
本橋信宏作家

1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。バブル焼け跡派と自称。執筆はノンフィクション・小説・エッセー・評論まで幅広い。“東京の異界シリーズ”第5弾「高田馬場アンダーグラウンド」(駒草出版)発売中。「全裸監督 村西とおる伝」(新潮文庫)が、山田孝之主演でNetflixから世界190カ国同時配信決定。

堀江しのぶが珍しく弱音を…「お腹が痛くて食欲がないの」

公開日: 更新日:

 毎回、「おい! ねえちゃん」と居酒屋の店員を呼ぶようなやすしに対し、しのぶも「いい加減にわたしの名前覚えてくださいよ!」と切り返す。荒くれイメージが強いやすしに切り返しができるのも、堀江しのぶしかいなかった。大物芸能人というのは、ずけずけ言い返してくるこんな若者が可愛くてしかたがないものだ。堀江しのぶは芸能界のジジイキラーでもあった。

 売れに売れる堀江しのぶ。

 自分で発掘し育てるのが夢だった野田義治は、自身が長年抱いていた夢がかなったと思い、おのれの強運に感謝した。

 この勢いでさらに強力な新人をスカウトして売り出す計画も着々と進んでいた。有望な事務所スタッフも増員した。世界中のサクセスが今、自分の手元に集まりだした、と実感した。

 だが強運はときに百八十度ひっくり返るときがある。凶運が野田義治の足元にひそかに忍び寄っていた。

 1988年。

 日本列島をバブルが覆っていた。

 株や絵画、ゴルフ会員権、不動産、金、あらゆるものが投機の対象になった。雑誌、テレビでも水着撮影だけの仕事でハワイ、バリ、プーケットといった人気観光地にロケを組んだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    前田健太「ドジャース入り」で大谷との共闘に現実味 日本復帰より「節目の10年」優先か

  2. 2

    井桁弘恵ショートカットで“山之内すず化”が加速! 「そっくり問題」いよいよ待ったナシ

  3. 3

    大阪万博は開幕1カ月を待たずトラブル続出…場当たり説明でGW後半の盛り上げムードに水を差す協会の大罪

  4. 4

    巨人阿部監督はなぜ田中将大にだけ甘いのか…2試合連続炎上でさすがに二軍調整も

  5. 5

    小田和正「77歳の現役力」の凄み…現役最年長アーティストが守り続ける“プロ意識”

  1. 6

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  2. 7

    ダウンタウン復帰が外部資金でコンテンツ配信のナゼ…松本人志に浮上した疑惑の顛末

  3. 8

    斎藤元彦・兵庫県知事が頑迷に貫く「治外法権」…公益通報を巡る国の勧告もガン無視

  4. 9

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  5. 10

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???