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本橋信宏作家

1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。バブル焼け跡派と自称。執筆はノンフィクション・小説・エッセー・評論まで幅広い。“東京の異界シリーズ”第5弾「高田馬場アンダーグラウンド」(駒草出版)発売中。「全裸監督 村西とおる伝」(新潮文庫)が、山田孝之主演でNetflixから世界190カ国同時配信決定。

堀江しのぶ死後…内情は火の車だった村西とおると野田社長

公開日: 更新日:

 事務所唯一の稼ぎ頭だった堀江しのぶの夭逝によって、野田義治は窮地に追い込まれた。

 経済的ピンチを救ったのは村西とおる監督だった。村西とおるが経営する芸能人イメージビデオ制作会社、パワースポーツのプロデューサー・監督として野田は毎月のように仕事を発注され、プロデュース料として最低でも毎月300万円を現金で村西とおるから手渡された。

 バブルを体現したかのような村西とおる監督とその会社、パワースポーツであったが、実は世間がバブルに浮かれる1988年、内情は火の車だった。

 パワースポーツは、膨大な制作費をかけてキャンペーンガールや11PMのカバーガールなど、派手なキャスティングを行ってきた。ところが出航したばかりの会社だったので、利益を生み出すところまではいかなかった。

 パワースポーツともうひとつ、ダイヤモンド映像というAVメーカーを村西とおるがこの年立ち上げたものの有力新人を発掘できず、売れ行きは低迷していた。

 17歳の少女が姉の健康保険証を自分のものだと偽ってAV出演し、未成年をAVに出演させたとして児童福祉法違反で村西とおるが逮捕された。未成年だとわからなくても、監督保護するのが成人の役目だということで大人が罰を受けるのだ。村西とおるは謹慎を余儀なくされ、ダイヤモンド映像は若手の日比野正明、ターザン八木といったサンドバッグ軍団と外部のフリー監督が制作した。

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