開腹手術経験者は要注意 「腹壁瘢痕ヘルニア」を医師が解説
手術は、疾患の内容に個人差が大きく、しかも先の手術で腸が腹壁と癒着していることもあり、難易度が高い。良性疾患なのに手術で新たな症状が生じ、手術前より生活の質が下がっては意味がないため、症状がひどくなければ様子見となることもある。
「私は、患者さんにはまず肥満解消をしてもらい、その後に手術を再検討します。肥満の人は腹部に圧がかかり、腹壁瘢痕ヘルニアを起こしやすい。かつ、大きくなった腹壁瘢痕ヘルニアを手術で体内に戻そうとしても、脂肪が多いと、そのスペースが十分にないからです」(早川副院長)
腹壁瘢痕ヘルニアを回避するには、肥満にならないようにするしかない。気になる場合は、早い段階でこの疾患治療の経験数が多い医師にチェックしてもらう。治療を受ける時も、経験数の確認は必須だ。
「腹腔鏡下手術は、長い鉗子を操作してモニターを見ながら手術するので、開腹手術より訓練が必要です。日本内視鏡外科学会の技術認定医の資格を持ち、腹壁瘢痕ヘルニアの手術を多数行っているところを選んだ方がいい」(山本医師)
ちなみに、この資格取得は、限られた医師しか通らない非常に狭き門だという。