ジェネリック医薬品の効き目は先発品と同じ?
「後発医薬品」(ジェネリック医薬品)をご存じでしょうか。新規に開発された薬は「先発医薬品」と呼びます。先発医薬品の特許が切れると、他の製薬会社も同じ成分の医薬品を製造販売することができるようになり、これが後発医薬品です。先発医薬品は研究開発に膨大なコストがかかっていますが、後発医薬品は、研究費があまりかからないために安価です。このため、「効き目は同じで安い薬」というような説明がされることもあります。
しかし、「安かろう悪かろう」ではないですが、後発医薬品は「先発医薬品に比べて効き目が弱そう」と思われる方も多いのではないでしょうか。
もちろん薬剤の血液中濃度など、先発医薬品とほぼ同じであることが確認されてから承認されるので、基本的には同等と考えてよいと思います。ただ、血中濃度がほぼ同じだとしても、例えば「コレステロールを下げる薬で心臓病を予防できる効果が全く同じか」と言われると、そのような比較データはあまりありません。米国心臓協会誌電子版(2016年4月19日付)に「アトルバスタチンカルシウム水和物」(一般名、コレステロールを下げる薬)の後発医薬品に関する観察研究が報告されました。この研究は心臓病によって入院し、生存、退院した1万5726人(平均76.9歳)を対象とし、退院後の「リピトール」(先発品)投与と「アトルバスタチンの後発品」投与を比較しています。
その結果、1年以内の死亡または心臓病再発による入院は、先発品群、後発品群ともに17.7%で、同等という結果でした。さらに長期的な影響となると不明な部分もありますが、アトルバスタチンの後発医薬品は、臨床的にも先発医薬品と同等であることが示唆されます。