“対象外”にも持続的効果 閉塞性動脈硬化症の新治療法とは

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 コレステロール値が正常のASOの患者19人を対象にした試験では、ASOの重症度を判定する「ABI」(足関節の収縮期血圧÷上腕の収縮期血圧)が、平均0・59から0・67へ改善した。ABIが0・9以下だとASOと診断され、0・1の差が死亡率を変える。この結果は大きい。

 間欠性跛行で歩行不能となる距離も、171メートルから294メートルへ延長した。間欠性跛行症状が出現するまでの歩行距離は改善の判定の一つになる。19人のうちABIが著しく良くなった10人では、歩行距離は118メートルから333メートルへとかなり延びた。

 現在、横浜市立大学付属病院は、厚労省から先進医療Bの承認を受けてコレステロール値が正常なASOに対する血漿吸着療法を実施している全国で唯一の施設となる。ABIが0・7未満をはじめ、いくつかの条件に該当する人が対象だ。

「予備的臨床研究の結果では、1クール(10回)実施後3カ月の検査でも血漿吸着療法による血管内皮細胞の活性化の効果は維持されていました。リスクファクターへの従来の治療は継続していただくことが前提です」

 メーカーによる治療機器の無償提供で、自己負担額は本来の10分の1に当たる約13万円。

〈先進医療Bとは〉

 厚労省による先進医療Bは適応外使用を伴う医療技術などが対象で、審査が先進医療Aより格段に厳しい。

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