前立腺がんは凍らせて殺す 国内初治療を行った医師に聞く
体への負担が少ない前立腺がんの治療法が注目を集めている。国内で初めて「前立腺がん凍結療法」を行った東京慈恵会医科大学付属病院泌尿器科診療副部長の三木健太医師に聞いた。
「前立腺がん凍結療法」は文字通り前立腺がんを凍結させ、がん細胞を死滅させる。
「1年半前から始め、これまでに凍結治療を受けた6人の患者さんは全員が経過良好です」
前立腺がんは早期に発見されれば、非常に予後がいいがんだ。
治療法は主に「全摘手術」「放射線療法」「ホルモン療法」。全摘手術と放射線療法の治療成績は同等で、それぞれメリットとデメリットがある。
全摘手術は前立腺をすべて取るので、摘出後、がんの状態を詳細に調べられる。治療前の検査での想定より状態が悪い場合は、それに応じた今後の治療計画を立てられる点がメリットだ。デメリットとしては、率は低いが失禁や男性機能の低下が挙げられる。
一方、放射線療法はPSAの低下で「治癒」は確認できるものの、前立腺はそのままなので、治療が不十分であれば残ったがんが再発する可能性がある。放射線が尿道や直腸など前立腺がん以外の場所に過度に照射されれば、切迫頻尿や下血が起こる。しかし、治療直後の男性機能の低下のリスクは低い。