意識障害から負の連鎖へ 高齢者の「脱水」が認知症を招く
それだけではない。認知症になると温度変化を感じにくくなる。暑い部屋の中、エアコンもつけず、ドアも窓も閉め切り、一日過ごす高齢者も珍しくない。
このことから、「認知症↓脱水↓認知症の悪化」といった図式もできるのだ。
「体内の水分は筋肉に保たれるので、筋力が低下している高齢者は体内の水分量が少なく、もともと脱水を起こしやすい。それも負のスパイラルに関係しています」(高瀬医師)
■安易な水分補給も問題
さらに、脱水を起こしている時に水や茶を飲むなど、安易な水分補給も問題だ。
「血液中のナトリウム濃度が低下し、低張性脱水(ナトリウム欠乏性脱水)を起こすのです。これも譫妄の原因になります」(高瀬医師)
東京都新宿区を中心に訪問看護、居宅介護支援、訪問介護事業を展開する秋山正子氏は、在宅医療の現場で遭遇する高齢者の救急の搬送の原因として「脱水、発熱、誤嚥、急性腹症、転倒、骨折、便秘、意識障害(譫妄など)」を挙げ、「脱水はすべてに関連している」と指摘する。